非「科学喫茶」

サイエンスカフェでない何か

最先端科学を扱うわけでもなく、非専門家向けの簡単な解説を試みるでもなく、研究現場から消えてしまった道具を出してみたり、昔の科学の本を扱ったり。科学の香りはすると思うけどサイエンスカフェとは方向性が全然違った何か。

イメージ01

現場の周辺

製図器、計算尺など研究の現場にあった道具類など。

イメージ02

偏光顕微鏡と液晶

偏光顕微鏡による液晶観察関連。

イメージ03

諸々

昆虫の構造色など、その他諸々の話題。

イメージ04

昔の科学

昔の科学・技術の本など

 基本、怠惰者です。なので、必要のないものを作る気力はないのです。そして、必要があるものは、誰かが作るから自分で作らなくてもよいと思っているのですが、そこら辺のWebを漁ってみても、世の中にあってもいいと思われる(あくまで、私自身の考えとしてですけれどね)事柄なのに、あんまり見当たらないものがありまして、不必要と必要の中間あたりで、もやもやとしたものが世間に出てきてもいいのかなと思い、仕方なくサイトを立ち上げることにしました。
対象読者は内容によって異なっています。偏光顕微鏡と液晶の所は、関連する研究をやっている人を念頭に、大学の一般教養程度の知識を前提にしています。それ以外の所は、特に研究や液晶などとは関係のない人を対象にしたもので、高卒程度の知識を前提にしています。高等学校は義務教育ではありませんが、現在の高校の進学率を考えると、多くの人に取っては常識であると(紙の上の話としては)考えられるからです。
 科学に関連する話題が多いこともあり『「非」科学喫茶』と名付けて見ました。『「非科学」喫茶』ではないことにご注意下さい。なんで、『「非」科学喫茶』かというと……「科学喫茶」を覗いたことはないのですが、勝手に、ここで目指しているのとは異なった方向性を持ったものであろうと思っているためです。科学喫茶は、専門家と普通の人の交流の場として設定されているかと思います。この設定に文句はありません。必要なことです。そして、科学喫茶では、専門家が最新の科学の成果を分かりやすく普通の人に伝えることになっているかと思います。ここには、正面から反対します。反対するのには幾つかの理由があります。一点目の理由は、科学者側が、自分たちのやっていることを人々に伝えるのを延々とサボってきたためか、普通の人が知っていること(高校までの教科書に書いてあること)と、研究内容の間に大きな解離が生じているからです。科学は決して単発で存在しているものではなく、その背景となる筋道の上に存在しています。その道筋を抜いたままで最新の成果とやらを出しても、それは普通の人を分かった気にさせることは出来ても、心から理解させることは出来ないでしょう。それどころか、科学に対して誤解を与える怖れすらあります。クラーク小父さんは「Any sufficiently advanced technology is indistinguishable from magic.」と言っていますが、ここのtechnologyはscienceと置き換えても良いんじゃないかなと思う次第で、一足飛びに最新の成果とやらを伝えることは、普通の人の目を眩ませて、科学研究に税金を投入することを認めさせるのには役立つかも知れないけれど、日常的な思考にも反映するような科学的な考え方や方法を身につけるのには役立たないどころか、正反対のことすらやってしまうだろうと思ったりするのです。
 えっ、好奇心が科学の芽生えだから、面白く興味を持たせれば良いじゃないかって。確かに朝永振一郎さんも好奇心は科学の芽だと言っていたかとは思います。でもね、日本の子供達の理科に対する好悪を見てみると、好奇心だけで済む子供のうちは理科好きだけれど、論理的な思考が要求されるようになる中学以降は一気に理科嫌いが増えますよね。そう、芽は枯れやすい物なのです。それを放置して、芽だけを育てようとする行為では、自己満足は得られるかもしれませんけれど、現象を観察して、問題点を明らかににして、それを解決する方法を考えて実行するという、科学的なもののやり方とは、まったく異なった行動原理によるものとしか思えないわけです。非科学的な思考形態による科学教育……。言葉としては面白いですが、あんまり教育としての成果が出そうにないですよね。
 で、最新でもなく、優しくでもなく、でも自分の知識の範囲だけれども、きちんと何かを伝えてみようかなと思ったわけです。もっとも、これは、私の独創なんかではなく、このWebでも紹介する「にじ」の中で藤田圭雄さんが主張していることですし、また、伏見康治さんの科学エッセイの中でも主張されていることです。伏見さんや「にじ」に文を寄せられた方のような英知は持ち合わせてはいませんけれど、まあ、ぼちぼちと自分の出来ることを試してみたいなと思っています。
 ここまでお読みになった上で、まだ、連絡を取ろうとするなら、info@Domain Name にメールを送ってみて下さい。普段は使っていないアドレスのため、気がつくのに年単位程度かかるかもしれませんが、気がついて、気が向いたら返事をさし上げます。